昭和21年8月寄稿
雁のつて
会誌の最後にある「雁のつて」
これは、坂元正一君がまとめたクラス会誌初号とも言うべきものである。
終戦の翌年、昭和二十一年九月発行で、安藤(押本)直正、石坂美男、伊佐弘道、鬼山茂樹、坂元正一、清水憲太郎、多胡光雄、谷内能孝、東條重道、中川好成、藤尾圭司、冨士栄一、山田良彦の十三名の短文が掲載されている。
最後に編集後記として坂元正一が次のとおり書いている。
「是非旧交を温めたいと心に念じつつ、多忙の為意にまかせず、夏休みの余暇をみつけて纏めたのが之なのです。この提案をされた安藤、多胡両兄に感謝する次第です。
所が昔と違って物のない時代、思う様に行かないでこんな程度、之を通じて何か心に通うものがあれば幸と思っております。出来れば亡き人々の思いで等も纏めたいと考えております。 この小冊子を通じて或は生活の事でも意見でも創作でも、詩でも、心の糧として発展せしめようではありませんか。
書き遅れましたが、この小冊子何か適当な名を付けたいと思います。今回中川と二人で仮に付けましたが、一寸泣かせる名をお通知下さい。これが、戦後の会報とも言うべき第一号であったが一号止まりとなった。
坂元 正一