故吉岡 慶治君の母上宛の手紙
謹啓
追日暑気相増し候処、愈々御幾嫌よく御起居遊ばされ候趣大慶至極に奉存候。私儀益々元気旺盛、生徒生活に精進致し居り候。6月も半ば過ぎ生徒長として多忙の日が続き居候
数ヶ月の後に卒業も差迫り卒業時の費用も7月に入り次第、申し兼ねますが表記の金額だけ主計部宛お送り下され度。
程なく海上第一線に乗り出す事となり、問題となります事は如何なる方面に進むやの事に候、如何なる方面があるやと申しますと
艦船乗組 (軍艦、潜水艦)
航空方面 (搭乗員、整備)
に候。私の性質、家庭の状況等御考慮の上、御定め被下度、何れ御国に尽すは何処たりとも戦場に候へは、私は何処にても尽す覚悟に有之候
誠に御迷惑とは存じ候へども、出来得る限り速かに戸籍謄本御送り被下度。
梅雨晴れたるの感有之候へども雲行き悪く候へば御健康には充分御留意の程を、尚暑気相加わるの候に候へば今後共御留意の程を伏して願上候。
敬具
昭和18年6月24日
御母上様
慶治拝
(なにわ会ニュース22号29頁 昭和46年2月掲載)