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川崎 順二

父あて書簡

謹啓 父上様始め皆々様には如何御起居被遊候哉、定めし御元気に銃後の務に遭進中の事と慶察仕り候。且亦弟妹等皆々夫々の立場に精進致し居る事と慶察致し居り候。降而私儀其の後益々元気旺盛日々軍務に精進仕り居り候間、乍他事御放念被下度候。

時下向寒の砌、益々御自重御自愛御祈り中上候         敬具

父上様

 

家族あて書簡

謹啓 愈々11月と相成り寒冷身にしむ候と相成り申候。

祖母上様始め皆々様には如何御起居遊され候哉、定めし元気に御暮しの事と慶察仕り候。降って小生儀其の後頗る元気旺盛本務邁進中に有之候間、他事ながら御放念下され度候。

さて其の後日々無音に打過ぎ申訳無之候へども、いざ書かんとしても書くすべ無之、月々困却の態に有之候。弟妹また然りと存じ、便りは鶴首仕り候へども、斯く考へ居る次第に候。本日山下様より慰問文拝受仕り候。

正雄宛人形一送附仕り候。今更人形など与へる年齢には無之候へども、力強き御守りとして御与へ下され度候。先ずはこれにて失礼仕り候。       敬具

1111

皆々様へ

 

二伸

とみ姉等如何、重行兄より便り有之候や、御伺ひ申し上候。

祖母様如何、寒冷の候御養生第一に御願ひ申し上候。

 

父あての書簡

謹啓 前略御免下され度候。

父上様始め皆々様には如何、益々元気に御暮しの事と拝察申し上候。

降って小官去る10日附卒業、この度第一線部隊に配乗仕り申候へば、一言通知に及び申候。只今は実質的なる超非常時にて、軍人たるもの皆な討死して、これが征服に当らざるべからざる重大なる秋にて候。

この時に当り衆に先んじ卒業の栄と出陣の誉とを受く。光栄何んぞこれに過ぐるものあらんやと存じ居り候。只今よりは粉骨砕身、以て尽忠奉公の誠を致す所有御安心下され度候。

最後に御両親様始め皆々様の御健闘を御祈り申上候。父上様

 

第2伸

柳行李一個丸通にて送附仕り候。

候補生用品は適当に処分せられ度、尚木箱の本類はそのままにして、その他は処分せられ度候。

尚、小官靖国の光栄に浴し得るのときは本類皆焼却下され度候。

(於神戸旧友宅)

横須賀局気付 伊号45潜水艦乗組

川崎順二

小遣少々御送附中上候間、御両親様御好みのものを御召し下され度候。

(機関記念誌77頁)

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