角田教官お見舞
金枝 健三(機)
追浜空で第34期整備学生時代、指導官付として鍛えられた角田大尉(現一等空佐、前空幕人事課長)の病気見舞に上田、小生で(北村は仕事の都合で不参)行って参りましたが大手術のあとに拘らず大変お元気で、安心して辞去して参りました。しかしあと二カ月は自宅にて療養の由、各位にくれぐれもよろしくとのことでした。
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拝啓 三伏の侯とはよくいったもので連日大変な暑さが続いています。先日は上田、金枝のご両所には態々拙宅までご来駕をいただき、三十四期整備学生の代表としてご丁重なるお見舞を辱うし誠にご苦労、ご厚意深謝致します。
三十四期の諸兄中生存者二十名だそうですが、特別の人を除いては戦時中一別以来一度来訪された金枝君もその一人で、お互いに二十数年振りにお会いした次第でほんとうに懐しく存じました。
偶々小生三月末以来入院し、手術処置のうえ去月下旬に退院、現在ほ都下の片田舎で継続療養中でありますが、今回、思い掛けなくも諸兄等からお見舞をいただき、旧海軍の縁(えにし)の深さ、絆の強さを今更ながら感得し、諸兄のご厚意に心から感謝しつつ、よき時代の帝国海軍を偲び感無量なるものがありました。
小生の病気はご承知かもしれませんが、カリエスにて、昔であれば不治の病で、どうせ長くもたない業病でありますが、最近の医学特に内臓外科の進歩によって、命拾いの可能性は確率極めて高く、私も皆様のお蔭でもう暫らく療養に専念すれば、もう一度再起し得るものと信じ毎日を暮らしております。もう一度元気になって、立派になられた諸兄とお会いして昔を思い出して、大いにへル談でもしたいと実は思っている次第であります。
上田、金枝のご両所には、ほんとうにご苦労様でした。おもてなしもできませず失礼しました。三十四期学生諸兄ご厚意誠にありがとうございました。諸兄のお気持が小生には嬉れしくて感慨深いものがあります。
幹事の皆さん、三十四期の諸兄、身体には十分注意され、夫々の分野で大いに発展して下さい。
右取り敢えず御礼まで。
上田、金枝両兄
外三十四期整備学生諸兄