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平成六年参拝クラス会

神林  勗

三月以来、岡本幹事がリーダーとなって準備を重ねてきた当日となった。前年の幹事諸兄の応援を得て、幹事九名が八時過ぎ受付準備を整え待つ中、ご遺族、級友が続々と続いて、十時には、ご遺族八三、家族一一九名、教官及び生存者一三九名、合計二五八名の受付を終了した。

当日は、時折日がさす程度の薄曇りで前日までの暑さもなく、大鳥居をくぐって境内に踏み入れると、靖國神社は初夏の新緑のうち街の喧騒を離れて、おごそかな気特になる。

定刻、一同参集所から移動、手を浄めロを漱ぎ昇殿する。神主の祝詞奏上に引き続き、野崎貞雄君が祭文を捧げる。

ご遺族代表、教官、級友代表の玉串奉奠の後、一同黙祷する。

年に一度のこの日、この社殿に昇り五十年前の亡き級友達の面影の記憶を新たにして、改めてみ霊の安らかならんことを祈る。

これを以って昇殿参拝の式は、滞りなく終了した。

ついで場所を九段会館に移し、池田幹事の司会により懇親会が開催された。岡本幹事の開会のあいさつの後、ご遺族代表の山根澄子様(高崎孝一の姉)から、亡き弟の思い出や、四月の国分市の慰霊祭のお招き、この六月の参拝と皆様にお会いできることを心待ちにして楽しみにしている等とのお話のご挨拶を頂く。

ついで石隈教官から、社頭にて入校当時の若い姿が脳裏に浮かぶこと、日本にはリーダーがいないこと、新見校長のことなどのお話のあと身体に気をつけて来年もまた元気でお会いできることを楽しみにしているとのごあいさつを頂く。

乾杯の音頭は、石隈教官の同期の田邊晃様(田邊正君の兄上)が、英霊の安らかならんことと皆様のご健康を祈って、とお言葉を頂き懇談に入る。懇談の冒頭に、佐藤静君、篠田知武君及び矢田次夫君から連絡、伝達事項の説明があった。

午後一時半、中山 皎君の発声により「同期の桜」を斉唱し、最後になにわ会万歳を三唱し閉会となった。

ご参拝のご遺族には、本年はとうとうご両親のお姿がなかった。大半が古稀を過ぎた私達の年齢からすれば当然であろうが、やはり淋しいことである。ご兄弟、ご姉妹及び戦争を知らないそのお子達に替ってきている。戦死された級友の何倍も生きながらえてきた私は、この参拝の都度、何か後ろめたい気がする。

この毎年一回の慰霊参拝は一回でも多く続けなければならないと思う。これは生きのびてきた我々の大切な勤めだと思う。