平成三年 参拝クラス会
松下 太郎
昨夜からの雨で桜の青葉が一段と鮮やかに映える。梢には白鳩が群がり、低い鳴き声が静かに聞こえて来る。社殿入口両側に奉納された菖蒲の花が、白・紫と咲き揃い参拝者の気持を落着かせる。
「なにわ慰霊祭」の掲示を前に幹事一同緊張してご遺族のお出でを待ち受ける。小雨の中、時間の経過と共に懐かしい顔が続々と続き、受付の不手際にも心よく協力を戴く。夜来の雨で不参加者もあり、参集者はご遺族八十三家族、一〇五名、教官、生存者、同伴者を含めて一三三名、合計二三八名であった。
慰霊祭
午前十時、厳粛な気持が漂う中で、儀式が始まる。神事が進み、祝詞奏上に続いて、飲盛(機)の祭文が語りかけるように社殿に響く。続いて、昇殿・玉串奉奠が行われる。今回はご遺族代表、伴すず様(故弘次君ご母堂)菊地晴雄様(故祥一君令兄)、齋藤 豊様(故徳道君令弟)、門脇正一様(故国樹君令兄)の四名、その他石隈教官、飲盛(機)計六名の代表に合わせて一同拍手、拝礼、終って黙祷を捧げ戦没者のご冥福を祈る。
2−12
懇親会
心配した朝からの小雨も止み、例年通り九段会館に移動する。午前十一時、改装された会場に、ご遺族四十一家族、五十六名、教官、生存者、同伴者を含め百二十四名、計百八十名が参集する。科別、種類別(航空機、潜水艦、艦船)に配置されたテーブルに着席後、椎原幹事の司会により会が開催された。本年度幹事紹介後、伊佐幹事の愛会挨拶があり同時に田中教官のお手紙が紹介される。
今回は恒例の教官訓示は行わないとの教官のご意志により、引き続きご遺族代表挨拶を岩波正幸様(故欣昭君令兄)にお願いする。クラスの内情に精通され、何時もご協力をお願いしている岩波氏の感謝と今後を期待するお言葉に「なにわ会」の将来のため一層努力事を心に誓う。次いで、山田一夫様(故三郎君令兄)の音頭により乾杯を行い懇談に入る。初めに関西の渡邉 望より秋の紀州旅行の現状報告と追加申込受け付け中の話あり、次いで余興に入り、遠い江田島からわざわざ上京された、篠田と長女香里様二人により詩吟二題が披露された。しばし会場は沈黙、感銘を受ける。また、懇談中朝の受付で配布した既刊図書「回天の思想」の広告に関連して、未購読者に対し山田 穣の積極的な宣伝があり、成果を揚げた模様である。
盛んな歓談が続いた後、会の締めくくりとして、例により軍歌係り高崎生徒の美声に唱和して「同期の桜」、「軍艦マーチ」の二曲を元気に歌う。次いで、大村行雄様(故謙次君令兄)の音頭で万歳三唱、最後に飯盛の閉会の挨拶、来年元気で再会出来る事を祈り午後一時懇親会の幕を閉じた。
終りにご遺族の方々、石隈教官、柳田教官からの多額のご寄付を賜わった事を報告し心からの感謝の意を表します。
出席者 氏名掲載略