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旗流信号訓練



今回はアングルを変えての俯瞰図。舞台は巡洋艦 八雲の前部マスト。
旗流信号訓練で揚旗線(旗流用ロープ)のフック(旗流一挙動着脱用金具)の接続を誤ってロープを流し、海面上数十米の前橋信号桁を、空中サーカスよろしく、先端の滑車までロープを戻しに行くところ。
このタルンダ生徒さんに注目〃‥「皇国の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ」明治38年5月27日旗艦三笠の前しょうに掲げられた「Z旗」に対し応旗がサッと翻ったであろう八雲の前橋で悪戦奮斗している。
「吾人の興廃この一登にあり」かつて日本海海戦に勇戦奮斗した八雲は速力四十八(しじゅうはち)節の巡航スピードで瀬戸内の春の海を航行、生徒さん張りきって旗旗信号訓練中。先づN旗(教練)一流〃‥(わレ教練中の表示・市松模様の旗)
続いて生徒の航海士、聞きかじった信号を下命。
艦橋 生徒航海士「L4C」
旗甲板 生徒信号兵、カチャカチャカチャ  「L4C ヨーシ」
艦橋   「揚ゲー!」
生徒信号兵 勢よくロープを引く、ロープは揚がれど旗は揚らず
揚がったのはフックのみ。この結果がこの画でございます。
多分この生徒さん、体操は白帽か(一番下手糞の級)、生命綱はつけているものの、平穏な瀬戸内でも橋の上はグラリグラリと左右に揺れる。下は青い海、踏み外せば吸いこまれそう。心はあせれどままならず、下士官兵は高見の見物、将校生徒もつらい哉! あゝ。軽ろやかに空を舞うカモメがうらやましい。
(N旗の下の籠のようなものは速力マーク。マークの位置によってその艦の速刀の程度を表示します。旗流信号訓練は常に両舷二組で行う。海軍の訓練は何でも競争 確実迅速を旨とする。間違ったり、遅かったりすると指導官から雷が落ちる。「上甲板を駆け足で廻ってこい!」とやられるのであります。ハイ。)

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