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クラス会に招待されて

海軍教授 平賀春二

去る十一月十三日、貴期クラス会のおりには、旧師の故をもってご招待くだされ、光栄至極に存じました。私は人名をおぼえるのが格別不得手ですし、その上、ご卒業後三十数

年もたちますと、各位の人相も風格も、まるで変っていますので、姓名とお顔とが一致するお方は、申しわけのないことながら、極めて少数でした。しかし、互いに名乗り合って再会をよろこぶと共に懐旧の情うたた切なるものがありました。

やがて、慰霊祭となりますと、実に何とも言いようのない心苦しさで、胸のふさがる思いがしました。戦死させた責任のようなものを痛感せざるを得ませんでした。一文官教官として気負い過ぎも甚だしいと、お笑いの方もあるいはおいでありましょぅが、やり切れないはど辛かったのは事実です。私でさえ右の如し。ましてや同期生たる参列者各位の感慨の深刻さは、定めし私に数倍であったことでしょぅ。

従来、クラス会の席上で、英霊の老いさせ給うた親ごさん方のお姿を拝することは、右にもましてまことに辛いことですが、今回は生存者とそのご家族のみの会合と、あとにな

つて承り、「ヤレ、しもうた。それと知っていたなら、ああまでかしこまるのではなかった」と、くやしがった次第です。

 さもあれ、私は、兵学校のクラス会には二つの使命があると考えます。

一つは、いわずもがな、会員相互の親睦の増進。

二つには、戦死者及び一般クラス会員の遺族の扶助ない

しは後見であります。同期の方々よ、生存者が皆無となる日まで、遺族の方々のおんために、今後とも積極的におつくしください。

 なおまた、次回の全国的なクラス会のおりにも、必ずお沙汰ください。光栄に浴したいであります。

(十二月八日 ゲンナイ 敬白

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